何のために自然を守るのですか?

皆さんは

「かわいいは、守りたいのはじまり。」https://www.wwf.or.jp/campaign/speciallp/kwii001/

「かわいそうは、守りたいのはじまり。」https://www.wwf.or.jp/campaign/speciallp/kwis001/

という広告を見たことがありますか?

 

 

これは自然環境保護団体WWFジャパンの広告なのですが、

これを見て何か皆さんは何か思うことはあるでしょうか。

かわいそうな希少動物を守りたくなりましたか?

身近にいる野良猫はかわいいしかわいそうだ!守ってあげなきゃ!

そう思うかもしれませんね。

野良猫問題については思うことがたくさんあるので、いつか書きたいと思います。

何にせよ、人間がかわいい、かわいそうだと思った!

だから弱い動物を守ってあげなきゃという風にどうしても見えてしまいます。

かわいい、かわいそうは動物を守る根拠になっても良いのでしょうか?

 

どうして自然を守るんですか

ここで、環境倫理学の考え方を紹介しようと思います。

この学問は環境に対する考え方を論じるもので、

タイトルになっている「なぜ自然を守るのか」ということに

ズバリ答えを与えてくれています。

環境倫理学

この3つが基本となって、いろいろな主張がなされています。

それぞれについて軽く説明します。

自然の生存権

人間だけに権利があると、権利のない自然を破壊することが正当化されます。

これを防ぐために、人間優先主義を否定し自然にも権利を認めるという考え方です。 

ただし、これには権利を認める線引きをどうするかという問題があります。

権利を認めすぎると人間の経済活動への制約が大きくなるため、

より深く議論される必要があります。

似たような概念に「動物の権利」というものがあり、同じような議論があるのですが

これについても別の記事で詳しく書きたいと思います。

世代間倫理

今生きている私たちの世代が環境を破壊し、化石燃料を使いすぎると、

次の世代に壊された環境を残し、資源などは何も残さないということになります。

環境破壊も資源枯渇も、私たちの世代が加害者となって次の世代が被害を被ります。

現生世代の人類は、未来の世代の生存の可能性に責任を持つべきだという考え方です。

地球全体主義

地球上の利用可能な資源は有限であり、人類が持続的に成長していくために

環境や生態系は持続的な利用をしていくべきだという考え方です。

 

 

自然を守るというのは「正義」なのですが、

その正義故にどのような根拠で守っているのか分からなくなってしまいがちです。

環境倫理学の考え方をすべて押しつけたりするつもりはないですが、

これからの自然保護を考える上で学ぶことも多いのではないでしょうか。

 

まとめ

いろいろと掘り下げてきましたが、

結局言いたいのは、

かわいい、かわいそうなどの人間主体の自然保護ではなく、

自然を守ることに価値があるから保護を行うといった

自然環境主体の自然保護を行っていくべきではないか、

WWFさんにはそういった宣伝活動を行って欲しかった

ということです。

どのような意図でこの広告を打ったのかは分かりませんが、

国連がSDGs、持続可能な開発目標を掲げ

国際的に持続可能な世界を実現する風潮が高まりつつある中で、

それに反旗を翻すことになりかねないこの宣伝文句はいかがなものでしょうか。